2023年7月24日月曜日

出前配達を始めようVol.2 開業しよう! 後編

 


※こちらは「Vol.2後編」です!前編を未読の方はこちらからご覧ください。



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e-Tax初回起動~使い方

 e-Taxを無事インストールしたら、次は初回起動時のダウンロード作業が必要です。こちらは動作不安定になることがあるので、必ず他のソフト等をすべて終了した状態で実行してください。起動中のソフト等は「Ctrl+Alt+Delete」キーでタスクマネージャーを起動すると確認できます。終了したいタスクがあれば、タスクマネージャーの「プロセス」タブ内の項目を右クリックして終了することができます。


 さて、e-Taxを起動すると、バージョン確認が行われます。これは「OK」で進み、バージョンが古ければ更新してください。

 起動するとお知らせ画面が表示されます。一読して「OK」で進みます。

 ここが非常に分かりにくい画面です。起動する毎に毎回「追加インストール」というウィンドウが立ち上がります。しかし、追加プラグインをインストールしているかどうかがこの画面では一切分かりません。かといって全てインストールしようとすると時間がかかります。非常に使いづらいですが我慢しましょう。
 新しく帳票を使う時以外は「スキップ」でスルーできますが、今回は「開業届」と「青色申告」を行います。必要書類についてはこちらから確認してください。
 「共通」項目内で個人事業に必要なものについては、e-Taxソフトインストール時に完了していますのでスルーしてよいです。「申告」も今回は不要です。「申請」類で必要なものは所得税関連のみですので、該当項目にチェックを入れます。すると、プラグインがインストールされます。待っている間も他のソフトは起動しないようにしましょう。くどいようですが、e-Taxソフトは動作が非常に不安定なのでマルチタスクを避けたほうが無難です。

 e-Taxが起動したら、左のメニューボタンから「作成」→「申告・申請等」を選び、右下の「新規作成」をクリックします。


 別ウィンドウが立ち上がるので、チェックボックスは「申請・届出」を選択し、税目は「所得税」を選んで「次へ」を押します。


 ここから「個人情報の開業・廃業等届出書」「所得税の青色申告承認申請書」を作成できます。同時に複数選択はできないので、帳票は1つずつ作成してください。


 あとは「基本情報登録(マイナンバーカードによる入力補助可能)」→帳票の作成→電子署名(作成完了後にメニューボタンの『署名可能一覧へ』から署名)→送信(署名後にメニューボタンの『送信可能一覧へ』から送信)の流れになります。


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 帳票作成時の注意点は次の通りです。

  • 帳票の入力ミスをチェックする機能がないため、自分で入念に確認すること
  • 帳票を間違えて送信した場合は、帳票を全て作り直し、添付データがあれば再度添付して送信すること(税務署への連絡は不要)。詳細はこちらこちら
  • 確定申告に関しては、重加算税のおそれがあるため、そもそも間違えたまま提出しないように重々注意すること。詳細はこちらから。

上記の通り、e-Taxソフトの使用は他のソフト等とは異なり高い注意力を要します。繰り返しになりますが、よく確認してから送信するように注意してください。

ここからは、具体的な帳票の入力方法について記述します。各ブログや記事では、過剰な記入や記入漏れもみられますので、必要最低限かつ漏れなしでまとめます


①開業届(以下に記載のないものは記入不要です(2023.7現在))

  • 「_税務署長」→こちらから検索可能
  • 「提出日」→送信する日時
  • 「納税地」→現住所でよい。チェックボックスは「住所地」とし、TELも入力。
  • 「氏名」→環境依存文字など含め、マイナンバーカードと相違ないように入力
  • 「生年月日」→和暦で入力
  • 「個人番号」→マイナンバーカードの個人番号
  • 「職業」→「配達員」「業務委託配達員」「フードデリバリー配達員」などでよい
  • 「届出区分」→開業にチェック。事業の引継ぎではないので住所や氏名は空欄
  • 「所得の種類」→事業所得にチェック
  • 「開業等日」→業務を開始する日時(配達開始日に合わせる)
  • 「青色申告」→提出「有」
  • 「課税事業者選択届出書」→インボイス対象(売上1000万円超)以外は「無」
  • 「事業の概要」→「〇〇フードで食品・日用品を配達する事業」など記入。


②青色申告承認申請書(以下に記載のないものは記入不要です(2023.7現在))

  • 「_税務署長」→①と同じ
  • 「提出日」→送信する日時
  • 「納税地」→①と同じ
  • 「氏名」→①と同じ
  • 「生年月日」→①と同じ
  • 「職業」→①と同じ
  • 「屋号」→空欄でよいが、①でもし記入した場合はそれに合わせる
  • 「令和_年分の…」→記入漏れ注意!
  • 「所得の種類」→①と同じ
  • 「取り消し・取りやめの有無」→該当なければ「無」
  • 「業務を開始した年月日」→開業日に合わせる。同年1月16日以前であれば空欄
  • 「事業継承の有無」→「無」
  • 「簿記方式」→青色申告なので「複式簿記」


 さて、最後の項目である「備付帳簿」は、法律や税務調査にも強く関わる点なので、最後にしっかり解説します。

  • 「備付帳簿」→下に箇条書きで記載。ここの記入に関してはそこまで厳密である必要はない。なぜなら「正規の簿記の原則(Vol.1参照)」に基づいて記入すれば多くの補助簿は不要になるから。よって、使う可能性があればチェックを入れればよい。

        A.正規の簿記の原則に従う場合の「備付帳簿」

    • 総勘定元帳
    • 仕訳帳
    • その他(賃貸対照表、損益計算書)
 これらは全て「aoiro」で用意できます。補助簿は作成しなくてもよいですが、複式簿記に記帳された全ての取引は7年前まで遡って証明できる必要があります。

        B.複式簿記をつけない場合の「備付帳簿」

    • 現金出納帳→提出は「不要」!作成は「事業用の現金がある場合」のみ必要(7年保管)!つまり、後に解説する仕訳でいうと勘定科目「現金」の項目がある場合のみ!「事業主貸」「事業主借」で処理できれば作成不要。よって基本的にはチェック不要
    • 売掛帳→提出は「不要」!作成は「報酬振込までタイムラグがある」ため必要という扱いになる(7年保管)。仕訳帳でいうと、勘定科目「売掛金」があれば作成要。作成および保管するためチェック必要。
    • 買掛帳→出前配達では基本的に不要。一時的な現金受け取りは勘定項目「預り金」でよいため買掛金には該当しない。よってチェック不要
    • 経費帳→保管必要のためチェック必要。
    • 固定資産台帳→自転車での配達に限っては、該当ないためチェック不要
    • 預金出納帳→預金口座が必要なためチェック必要。
    • 仕訳帳→チェック必要。
    • 入金伝票→現金による入金は基本的にないためチェック不要。
    • 出金伝票→現金出金は発生するため必要。振替伝票を用いても良い。
    Bの場合は10万円の控除しか受けられません。最高55万円の控除を受けるには、現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳・債権債務等記入帳(=預金出納帳)を備える必要があります。

 ここまでお伝えすると明らかだが、正規の簿記の原則に従わなければ書類やお金の出入りが把握しづらくなるという問題があります。
 また、巷の情報を見ていると、Aの場合とBの場合が混同されている情報や誤解しかねない説明不足な情報が散見されます。実際、出前配達の確定申告を解説する記事のほとんどが、当然のようにAとBすべての項目にチェックを入れています。おそらく、帳簿作成を煩雑に見せかけて高価な有料ソフトに誘導するのが狙いです。確定申告に関する知識がなければ大損をすることになります。
 ちなみに、税務署の『確定申告はじめてみませんか?』を参照すると正しい理解ができるのでオススメです。




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複式簿記における仕訳帳の書き方

 さて、ここからは具体的な仕訳方法について解説していきます。ここでは仕訳の実例を挙げて解説していきますが、表記を以下のように統一します。

日付/摘要/借方/貸方

 早速、見慣れない単語が並んでいます。単語の説明をしたところでイメージが沸かないだろうと思いますので、まずは実例でご理解いただければと思います。


①6月6日、出前バッグを購入した。開業は7月1日。

7月1日/〇〇.com デリバリーバッグ購入費/開業費5000円/事業主借5000円

 開業以前の費用は、領収証の日付に関わらず開業日で仕訳します。消耗品購入などの場合は、誰に支払ったのかがわかるようにしましょう。ここでは仮に、「〇〇.com」という通販サイトで購入しています。開業の準備のためにかかった費用は、借方「開業費」という勘定科目で計上します。そして、このお金は事業主(つまりあなた自身)のポケットマネーから払っています。この場合は、貸方を「事業主貸」にします。なお、開業費や消耗品費は、事業目的でないと経費にはできません

 ざっくりいえば、借方は「結果」であり、貸方は「お金の発生源」です。そして、事業主の財布から出た5000円はどこに消えるわけでもないため、満額5000円〇〇.comに支払われるはずです。借方=貸方になることを「貸借平均の原理」といいます。

 ちなみに、この場合ネットで購入しているので領収証が手元に残りません。各サイトの利用明細など取引を証明できるものを保存しておく必要があります。ただし、2024年1月は電子帳簿保存対応義務化となり、電子的に発行・受領されたものに関しては印刷NGに変わりますので注意が必要です。データの紛失が恐ろしいので、バックアップを取っておくべきでしょう。


②開業のために、事業だけで使う普通口座を用意した。口座には10000円が入っているが、事業用のお金にすることにした。

7月1日/元入金/普通預金10000円/事業主借10000円

 こちらも開業日以前なので、開業日に合わせて仕訳しました。ちなみに2年目以降は、前年の元入金+青色申告特別控除後の所得金額+事業主借-事業主貸=翌年の元入金となります。


③初めての報酬!半月分90000円を報酬として売り上げ、支払手数料を差し引いた88770円が振り込まれていた。売上確定日は15日で、振り込まれたのは24日。

7月15日/〇〇FOOD配達報酬/売掛金90000円/売上90000円

7月24日/〇〇FOOD配達報酬/普通預金88770円・支払手数料230円/売掛金90000円

 本来は発生主義の原則に基づき、仕訳は配達一件ずつ行わなければなりません。ただし、売り上げデータで詳細が保存できる場合はまとめて計上しても差し支えありません。

 まずは、売り上げが確定している15日に仕訳を行います。売掛金というのは、まだ受け取っていないお金です。つまり、売上(貸方)は上がっているが未振り込みであるというのが売掛ということです。売掛金は本来得られるお金を得られていない状態なので、年を跨ぐ場合は翌年の元入金借方に前年の売掛金を反映する必要があります。

 次に24日に振り込みがあったので、売掛金はこれで回収できたことになります。このとき、支払手数料を記載するのを忘れないようにしましょう。aoiroの場合は開業費や支払手数料の勘定科目を追加する必要があります。やり方については以下をご参照ください。

https://aoiro.app/genkasyoukyaku-kaigyouhi.html


④開業後にスマホホルダーを購入した

7月30日/〇〇自転車店 スマホホルダー/消耗品費1500円/事業主借1500円

 開業後以降の事業に関する購入は、消耗品費で処理します。開業以前の購入は開業費ですが、開業費の場合は任意償却が必要です。任意償却についても上記リンクに記載がありますのでご一読ください。




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今回は以上になります。次回からはいよいよ運用に関する内容です。

  • 脱サラの場合の手続き
  • 自転車の作り方
  • 自転車保険と防犯登録

こちらの3本立てを予定しています。

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