①リム有効径
インチ数が小さいほど小さくなる。小さくなるとスポークが寝る&短くなるホイール全体の剛性が上がる。同じインチ数でもリムハイトに影響される。リム側の剛性とスポークの角度を両方加味する必要がある。
②ハブPCD
大きいほどスポークが寝る&短くなるため全体の剛性が上がる。また、スモールハブを基準とした時に、実質的にワイドフランジになる。
③OLD
広いほど製造時にワイドフランジにしやすくなる。また、シャフトを交換して元のOLDを広げることでオチョコを改善できる。ただし、OLDは広すぎるとQファクターが広がってしまうため用途に応じた限度がある。
④フランジ幅
広いほど横剛性が上がる。自転車を多段化するとフランジ幅が狭くなる傾向がある。オチョコを犠牲にしてもフランジ幅を広げたほうが横剛性を上げられる。ただし、オチョコはホイールの駆動性能に関わるためバランスを考える必要がある。
⑤反フリー側フランジ〜エンド
ここを縮めることでフランジ幅が大きくなる。ただし、縮めすぎるとオチョコに悪影響で駆動性能が低下する。
ディスクブレーキでは構造上、ここを縮めることができない。ただ、ディスクブレーキにおいては反フリー側スポークにもある程度テンションを掛けなければならないため、大きな不都合にはならない。
⑥フリー側フランジ〜エンド
同じくフランジ幅に影響するが、フリー幅によっておおよそ数値が固定されることになる。
フリー幅が狭くてOLDが広いほうが、ホイール自体の性能には有利ということになる。
⑦ハブフランジ中心〜OLD中心
ここの数値が小さいほど、左右差が小さく効率の良いホイールと言える。
左右スポークのテンション差は、分力を用いて計算で求めることができる。計算上の数値から大きく乖離するスポークがある場合は、主にリムの歪みが原因と考えられる。出来の悪いリムは歪みが大きい。出来の悪いリムでスポークテンションを上げると、特定のスポークだけにテンションがかかりリムが破損してしまう。
一方でスポークはそれなりの長さがあるため、太さ・スポーク長・スポーク素材によって伸び代が変わる。つまり、同じ回転数締め込んでも材質によってスポークテンションが変わるということになる。理論上は、細く・短く・硬いスポークほど伸び量に対してテンションが上がりやすくなる。
ただし、タンジェント組が絡むとやや複雑になる。スポークテンションそのものはタンジェント組のほうが上がりやすいが、伸び代を残しやすいのはラジアル組ということになる。
これは、組数が増えるほどスポークに駆動方向の分力が発生するからだ。タンジェント組はスポークテンションを上げても横方向に引っ張る力が弱いため、スポークテンションを上げなければならないことが原因だ。ここが反フリー側にラジアル組を採用するか否かの意見が分かれるところになる。
ヨンロクやヨンパチ、ロクハチなどで組むとスポークテンションの左右差を是正しやすくなる。しかし、実際にはプラシーボ効果程度の差しか生まれない。これは、組数の差によるテンション差是正は「あくまで駆動方向に分力が逃げているから」であり、決して「ホイールを横方向に引っ張る分力差が改善した訳では無い」からである。特に横剛性の向上などは期待しないほうが良い。
スポークテンションが上がれば剛性が上がるはずだという理論もあるが、それはあくまでリム側が剛性不足の場合のみに限る。リム剛性が十分な場合には、スポークテンションを一定以上上げても剛性への影響がほとんど無い。このことは研究で明らかになっている。(下のグラフは、ハブに荷重を掛けた時の変位を見たもの。リムが撓んでスポークテンションがゼロになる瞬間以外はほとんど変化がないことがわかる。)
ならば反フリー側タンジェント組に意味がないかというと、そういう訳ではない。スポークテンションの左右差が是正されれば、無条件にスポーク付近への負担が分散される。このことで、リム穴やフランジ穴からの破損を防止することができる。積載を行う場合は、反フリー側も積極的にタンジェント組にしておくべきである。
そこまでの耐久性が必要ない場合には、2to1(反フリー側のスポークを半分に減らす組み方)を採用すればスポークテンション差を是正することができる。この方法なら軽量化にもなるし定速走行での負担を分散できる。
ただし、急加速・急減速時にはフリー側半分のスポーク(後述)に駆動力が集中するため、ホイールへの負担が非常に大きくなる。寿命にはあまり期待しないほうが良い。
ここで理解しておくべきことは、「耐久性」と「剛性」は別のステータスとして扱うべきだということだ。全体で成り立っていれば良いのが剛性であるのに対して、どこか一箇所でも駄目なら簡単に破綻してしまうのが耐久性だ。
また、低ハイトリムを間引きでなんちゃってオプトバルにするのは難しい。スポークテンションを上げていこうとするとリムが波打つようになる場合があるからだ。なんとかうまく組めてもスポークテンションが狂って振れを起こしやすくなる。
リムに路面からの衝撃が加わったときは、図のようになる。リムハイトが低い(=リム自体の縦剛性が低い)とリムがたわんで下側スポークのテンションが下がりやすくなる。全てのスポークに力を分散したいならリムハイトを高くしたほうが良いが、これについてはタイヤのヒステリシス損とインピーダンス損を天秤にかける必要がある。つまり、路面等の条件に応じて判断ということになる。
まず、スポークには首が折れやすい力の向きと折れにくい力の向きがあることを頭に入れて欲しい。
その上でスポークAに注目すると、交差のペアになっているスポークBと比べて折れにくいことが分かる。最終交差でスポークを接触させているため、お互いのスポークが折れにくいように力を掛けあっていることになる。
リムブレーキの場合、駆動力もブレーキ力もスポークAひ引っ張る力に変換されるため、それを考慮した組み方がITA組みという組み方になる。リムブレーキはこの組み方が理想的だ。
一方でディスクブレーキ等の場合は駆動力とブレーキ力で引っ張られるスポークが逆になるため、この場合は組み方を変える必要がある。
こういった駆動力伝達の都合を併せると、その自転車に合った最適な組み方が見えてくる。
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