2022年10月11日火曜日

整備事例004 DTCなし・エンジン不調

車種 アテンザ(ディーゼル)
症状 エンジン不調

今回はいつもと少し違って、故障診断のコツのようなものを解説する回。

症状は、エンジン回転数や条件によらず常にエンジン不調が発生する。
失火検出などはみられず、クリーンディーゼル特有の煤に関してはディーラーで定期的なメンテナンス(デポジット焼き・噴射量学習・無負荷レーシングなど定められた項目)を行っている。

DTCを確認するが異常は確認できなかった。ここでいきなりフューエルインジェクタなど燃料系統を疑うとドツボにはまる。過去の記事でも述べたように、端折ろうと最初から本体故障を疑ってかかると逆効果だ。

まずは診断機を用いて、各センサの値が正常であるかを確認しなければならない。DTCを検出しない程度の軽微な不具合が発生している可能性があるからだ。DTCが検出されるほどの不具合があれば、単純なエンジン出力低下などのフェイルセーフ機能が働いていることがある。しかし、今回の症状からして明らかにそのような制御は働いていないため、データモニタで改めて全体を見渡すという作業が必須となる。

すると、まず最初にO2センサの数値が異常であることを確認した。
さて、O2センサを交換してみよう!というのはDIYなどでよくあるミスだ。
こう判断してしまう場合には、2つの診断ミスがある。
①O2センサ本体の特性異常であるかどうかを確認しなかった。
②”おおもと”である吸気から順を追って診断しなかった。

①O2センサの異常値が本体の特性異常ではなく、ほかの装置の異常によって引き起こされた結果であることを考慮しなかったということだ。たとえばEGRバルブの不具合でエンジン不調が引き起こされているとすれば、結果的に燃焼状態悪化するなどしてO2センサが異常値を検出しているとも考えられる。

では、O2センサの特性不良を判断するためにIG・ON(エンジン停止)状態でのデータモニタ値を確認する。エンジンが掛かっていなければ、バッテリ電圧低下とPCM故障以外の影響を受けないからだ。
整備書の正常値と照らし合わせてみると、O2センサの値は正常であるとわかった。つまり、O2センサが必ずしも故障しているとはいえない状況になってきたわけだ。

では、他のセンサの値も確認してみる。すると、エアフロセンサの値がIG・ON(エンジン停止)でも異常値であるとわかった。エンジンを始動して再点検してみても、やはり異常値を示している。

あとは診断の基本手順どおりに点検していけばよい。各端子の電圧測定やカプラの点検などを行ってエアフロセンサ回路の切り分けを行っていく。エアフロセンサの本体異常が確認できれば、これで診断完了となる。
なお、抵抗値測定ができないセンサの場合は、必ずしもセンサが故障しているかどうか判断できない。センサを交換して直らない場合は、ECU交換となる。

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