反フリー側はアルミニウム合金の受けで、フリー側に雌ネジの鋼(シマノ600)。ボルトも鋼という組み合わせです。締付トルクは規定トルク無視の10Nm(フロントは7Nm)。
ロードエンドのズレる問題は私が高校生(つまり8年くらい前)から個人的にちょくちょく研究していて、いろいろなクイックやスキュワー、取り付け方法や締付トルクを試しました。結果として言えることは、
・雌ネジをアルミにすると高確率でズレる
・クイックレリーズの規定トルク(5〜7Nmくらい)でもズレる場合がある
・チタン盗難防止スキュワーは使い物にならない
・シマノ純正でめいっぱい締めるとズレない
・クイックレバーの受けが樹脂のタイプは論外
・昔ながらの鉄クイックは最強
・ナット締めで規定トルクまで締めればまず動かない
・アルミの雌ネジはだいたい12Nmくらいで降伏(つまりネジが痛む)する。15Nmくらいで破断する
・トルクが低いとクイックは簡単に歪む
・積載が多い側の車軸クイックは簡単に歪む
・当然ながらロードエンドはフリー側がズレる
です。
あくまで経験則から現状にたどり着いています。では、そこに理屈をつけてみましょう。
こちらをまずご参照ください。実際のところ私の魔改造スキュワーがどんな材質なのか厳密には不明ですが。しかし言えることは、雌ねじと雄ネジの間にアルミニウムを噛ますとトルク係数が上がるということです。トルク係数2.5から3.5と捉えることができるのではないでしょうか。ホイールとの噛み合わせはさておき、クイックレリーズに掛けられる最大トルクを上げるには、アルミを噛ますことが必須です。(まあフレームがそもそもアルミなんですが)
おそらくレバー側の受けが樹脂になっている製品は、コストダウンだけではなくオーバートルクによる破損事故を防ぐ意味合いもあるのでしょう。しかし樹脂だとトルクを上げても固定力が落ちてロードエンドでは使い物になりません。
あと、クイックおよびスキュワーには適切な給油が前提である点は要注意です。
では先程のトルク係数を前提に、次のリンクもご覧ください。
※クイックレリーズはM5です。
※トルク係数はあくまでボルトのトルクと降伏点(ネジが変形して戻らなくなってしまう状態)の関係を示す値です。スキュワーがズレるかどうかやナット側が損傷かどうかの参考値ではありません。
表を参照する限りでは、トルク係数2.5〜3.5あたりという条件において10Nmはかなり攻めています。12Nmくらい締めればもう塑性域締付といえるでしょう。
現物のボルトの強度区分がどうかは何とも言えないため、この時点で「チタンクイックやスキュワーは論外」という話になります。かの有名なRWSのチタンモデルはお話にならないプラシーボということです。
また、ロードエンドは鉄クイックを使いましょうという話があります。それはたしかにそうなのですが、その要件が求められるのはあくまでフリー側です。ロードエンドを使ったことがある方はご存知かと思いますが、ズレるのは必ずフリー側です。
それと、もう一つ重要なのが「ロードエンドでアルミのクイックを使うと、アルミのセレートが鉄のエンドに負ける」という説明がよくされます。半分は正解ですが、半分は間違いだと思います。なぜなら、自転車側が鉄のエンドでなくても全く同じ現象が起きるからです。負けるという曖昧な表現でぼかそうとしているのかはたまた本当にそう思っているのかはわかりませんが、間違いなく言えることは実証に基づいていない説明だということです。
まず、アルミのクイックは最大トルクが結果として落ちます。なぜなら雌ネジがすぐにめげてしまうからです。RWSも雌ネジがアルミですが、強く締めて雌ネジを御臨終させてしまった事例はちょくちょく見かけます。つまりアルミのクイックはそもそもロードエンドに求められる「オーバートルク気味」の締め付けに対応できないのです。
さらに言うならば、アルミのセレートになっている製品の多くは根本的に作りがお粗末で、セレート自体も「とりあえず溝を切った」レベルのものです。加えて樹脂の受けが使われている場合がありますから、当然こんなものではトルクをいくら掛けても無駄です。
あとは、締め付けトルクが高いとハブの回転が悪くなるって話ありますよね。これも半分正解で半分間違いだと思います。
ハブの回転は確かにクイックの締め具合に影響されます。プリロードが微妙に変化するんです。ところがここで「シャフトが3度歪んで回転が落ちる」というとんでもない意味不明なことを謳う製品が存在するわけです。クイックごときのトルクで3度なら、ナット締めはとんでもない角度で歪んでるはずですよ。しかも、それを使って「効果がある」と言っている人間の中には、なんと私がこの記事でさんざん指摘した「固定力皆無のクイック」を使っているのが多数おるわけです。流石にふざけてますよね。少なくともそんな組み合わせでは効果ないですよ。
そして、鉄のセレートでないと固定力が落ちるはずなのに、セレートがない某製品や両端がアルミのRWSで「剛性が上がった!」とはもう意味不明です。プラシーボどころの話ではありません。先に示したリンクや私がした説明のように、どこにどういう素材を組み合わせて何でどう締結するかのトータルが重要なのですが、実際には言葉だけが独り歩きしていて救いようがないわけです。
という話で、私がロードエンドでたどり着いたのが「反フリー側アルミ」「フリー側鉄」「鉄シャフト」「レバーではなく工具締めによるトルク管理」「降伏点の寸前を狙う」です。これが軽量性とトルクと固定力を全部担保できる限界点ではないでしょうか。
あ、締結力最強とは私は絶対に言いません。バッチリ固定したいのであれば中実シャフトをナット締めするのが最強ですから。
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